「異業種交流会に行っても、隅で立っているだけで終わる」「懇親会の雑談がとにかく苦痛」——北九州・小倉で経営者の方とお話ししていると、この悩みは驚くほど頻繁に出てきます。結論から言うと、人脈が広がるかどうかは、社交性の高さではほとんど決まりません。決まるのは、場に出る前の準備と、場のあとの動き方です。
この記事では、2015年からBNI北九州東リージョンのフランチャイズを運営し、約10年で延べ2,000人以上の起業家と接してきた経験をもとに、人見知り・内向型の経営者でも無理なく人脈を広げられる5つの方法を解説します。「明るく振る舞う」といった精神論は一切出てきません。すべて、今日から手順として実行できるものだけを挙げます。
人見知りの経営者ほど、実は紹介営業に向いている
まず、多くの方が誤解している前提をひっくり返しておきます。紹介が集まる経営者=話し上手、ではありません。
私が10年間、毎週の朝会で数百人のメンバーを見てきた実感として、継続的に紹介を受け取っている人の半分近くは、初対面が得意ではないタイプです。彼らに共通しているのは、次の3点でした。
- 相手の話を最後まで聞く。自分の商品説明に話をすり替えないので、相手が本音を出しやすい。
- 約束を必ず守る。「あとで資料を送ります」を翌日中に実行する。派手さはないが、信頼が積み上がる。
- 浅く広くではなく、少数と深く付き合う。結果として、紹介を出すときの説明が具体的になる。
紹介営業、いわゆるリファーラルマーケティングという仕組みは、「短時間で好かれる力」ではなく「時間をかけて信頼される力」で回ります。名刺交換の瞬間に勝負がつく世界であれば内向型は不利ですが、実際の紹介は3ヶ月・半年という単位で生まれます。ここは内向型の得意分野です。
つまり、変えるべきなのは性格ではなく戦い方です。ここから具体的な5つの方法に入ります。
方法1・2:会う前に「3人」だけ決める/話す量ではなく聞く量で勝つ
方法1:参加前に、話す相手を3人だけ決めておく
人見知りの方が交流会で消耗する最大の原因は、「その場で誰に話しかけるか」を会場で考えていることです。30人いる部屋で、知らない人に飛び込みで声をかけ続けるのは、内向型にとって拷問に近い作業です。
やることは単純です。参加申込の段階で参加者リストや主催者の告知を見て、「この人とだけは話す」という3人を決めて名前をメモしておく。3人と話せたらその日は成功、それ以上は無理をしない。この基準を持つだけで、参加のストレスは体感で半分以下になります。北九州・福岡のビジネスイベントは参加者一覧が事前公開されることも多いので、この方法は十分に機能します。事前準備の詳しい型は異業種交流会で成果を出す事前準備5つのチェックリストにまとめています。
方法2:話す量ではなく、聞く量で存在感を出す
内向型の方が「うまく話せなかった」と落ち込むのは、そもそも評価軸を間違えているからです。交流会の場で相手の印象に残るのは、たくさん話した人ではなく、自分のことを深く聞いてくれた人です。
具体的には、質問を3段階で重ねると決めておきます。①「どんなお仕事ですか」②「その中で、いま一番手が足りていないのはどこですか」③「それはどんなお客様から相談が来ることが多いんですか」。この3段階を踏むと、相手の課題と理想の顧客像がほぼ見えます。紹介を出すために必要な情報は、この3問でだいたい揃うのです。使える質問のバリエーションは異業種交流会で何を話せばいい?会話ネタと質問術7選で詳しく紹介しています。
方法3:早めに1対1へ持ち込む——内向型が最も力を発揮する場所
これが5つの中で最も効果の大きい方法です。大人数の立食が苦手でも、1対1の面談が苦手な経営者はほとんどいません。
BNIにはワンツーワン(1対1の面談)という仕組みがあります。メンバー同士が1時間、お互いの事業と顧客像を深く共有する時間です。私がこれを重視しているのは、紹介の質は、雑談の量ではなくワンツーワンの回数にほぼ比例するからです。相手のサービスを説明できるレベルまで理解していなければ、他人に紹介はできません。
そして内向型の経営者にとって、この場は完全なホームグラウンドです。周囲の音もなく、相手は1人で、話す順番も決まっている。実際、朝会では一言も雑談しないメンバーが、ワンツーワンを月4回続けた結果、半年で受け取る紹介が3倍以上に増えたケースを何度も見てきました。
交流会で3人と話したら、その場で深追いする必要はありません。「今度あらためて1時間、お話を聞かせてください」と次のアポを取ることだけをゴールにする。これだけで、その日の交流会は目的を果たしています。1対1の進め方はBNIのワンツーワン(1on1)で紹介が生まれる5つの質問を参考にしてください。
方法4・5:文章で信頼を積み上げる/同じ場に3回出る
方法4:口頭で勝てないなら、文章で勝つ
その場の会話が苦手でも、文章なら落ち着いて言葉を選べる——これは内向型の大きな武器です。交流会の翌日に送る一通のメッセージで、当日の印象は簡単に逆転します。
ポイントは、お礼だけで終わらせないこと。「相手が話していた課題」に対して、役立つ情報を1つだけ添えるのが効きます。「昨日おっしゃっていた採用の件、以前当社で使った求人媒体の比較資料があります。よければお送りします」——この一文があるだけで、返信率は大きく変わります。フォローの型は異業種交流会の後のフォローアップ5つの手順で整理しています。
方法5:新しい場を増やさず、同じ場に3回出る
人見知りの方がやりがちな失敗が、成果が出ないからと参加する会を次々に変えてしまうことです。初対面の緊張を毎回ゼロから繰り返すので、消耗するばかりで関係が育ちません。
おすすめは逆の動き方です。会を1つか2つに絞り、同じ場に最低3回続けて出る。3回目には顔を覚えられ、こちらから話しかけなくても声がかかるようになります。BNIの基本理念であるGivers Gain(与える者は与えられる)が回り始めるのも、たいてい3回目以降です。会の選び方に迷う場合は、北九州の経営者が入るべき団体はどれ?商工会議所・青年会議所・異業種交流会・BNIの比較が判断材料になります。
まとめ:人脈は「性格」ではなく「設計」でつくれる
ここまでの5つを、もう一度整理します。①会う前に3人だけ決める。②話す量ではなく聞く量で勝つ。③早めに1対1へ持ち込む。④翌日の文章で信頼を積む。⑤同じ場に3回出る。どれも「明るく振る舞う」ことを一切求めていません。
10年間、北九州・福岡で2,000人以上の経営者を見てきて確信しているのは、人脈の差は社交性の差ではなく、設計の有無の差だということです。無理に外向的に振る舞おうとした人ほど疲れて離脱し、自分の性格に合った型を持った人が残っています。
今日からできることは1つです。次に参加する会を1つ決めて、話す相手を3人だけ書き出してください。そして、そのうち1人と1対1のアポを取る。これを3ヶ月続けるだけで、1年後の紹介の数はまったく違うものになります。一人での参加が不安な方向けの手順もあわせてご覧ください。
「人見知りだけれど、紹介で顧客を増やす仕組みは作りたい」という北九州・福岡の経営者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。BNI北九州東リージョンの各チャプターでは、朝会の見学を無料で受け付けています。発言を求められることはありませんので、まずは後ろの席から、リファーラルマーケティングが実際に動いている現場をご覧いただければと思います。