「ワンツーワンは月に何回もこなしているのに、紹介がまったく増えない」——BNIに入って半年ほどの北九州・福岡の経営者から、いちばん多く受ける相談がこれです。結論から言えば、原因は回数でも相性でもなく、面談で「何を聞いているか」がずれていることにあります。
この記事では、BNI北九州東リージョンを2015年から運営し、約10年で延べ2,000人以上の起業家の紹介活動を見てきた経験をもとに、ワンツーワン(1on1)で成果が出ない3つの失敗、紹介が生まれる5つの質問、そして60分の面談の進め方を解説します。読み終えたときには、次のワンツーワンで何を聞けばいいかが明確になっているはずです。
ワンツーワン(1on1)とは?紹介が生まれる仕組みの中心
ワンツーワンとは、紹介を出し合うメンバー同士が1対1で会い、お互いの事業を深く理解するための面談です。BNIでは公式に推奨されている活動で、週1回のチャプター(例会)とは別に、メンバー同士が個別に時間を取って行います。
なぜこれが重要なのか。理由はシンプルで、人は「よく知らない相手」を他人に紹介できないからです。例会での60秒プレゼンだけでは、相手の事業の輪郭しか伝わりません。誰にどんな価値を届けている会社なのかが腹落ちして初めて、日常の会話の中で「あ、それならあの人だ」と思い出せるようになります。
リファーラルマーケティング(紹介による営業)は、信頼の積み重ねが成果に変わる仕組みです。その全体像はリファーラルマーケティングとは?で基本から解説していますが、その信頼を実際に積み上げる場が、まさにこのワンツーワンなのです。
私の体感では、1年間に安定して紹介を受け取っているメンバーは、月2〜4回のワンツーワンを継続している方がほとんどです。逆に、例会に出るだけで個別面談をほとんど行わないメンバーは、1年経っても紹介の数がなかなか伸びません。
成果が出ないワンツーワンに共通する3つの失敗
数多くの面談を見てきて、成果につながらないワンツーワンには決まったパターンがあります。北九州・小倉の経営者からよく聞く典型的な3つを挙げます。
失敗1:世間話で終わってしまう。1時間話して盛り上がったのに、終わってみると相手の事業について何も新しく知らない——これがいちばん多い失敗です。仲良くなること自体は悪くありませんが、「誰を紹介すればいいか」が持ち帰れていない面談は、成果につながりません。
失敗2:自分の商品説明ばかりしてしまう。紹介がほしい気持ちが強いほど、時間の8割を自社のプレゼンに使ってしまいがちです。しかしBNIの基本理念である「Givers Gain(与える者は与えられる)」が示す通り、順番は逆です。先に相手を理解し、相手のために動いた人のところに、結果として紹介が返ってきます。
失敗3:会って終わりで、次の行動がない。面談後に何も起きなければ、その1時間はただの雑談です。実際、紹介がうまく出せない経営者へでも書いた通り、紹介は「出そうと決めて動いた人」からしか生まれません。面談の最後にお互いが1つずつ具体的な宿題を持ち帰るだけで、結果は大きく変わります。
紹介が生まれる5つの質問
では、ワンツーワンで実際に何を聞けばいいのか。紹介を生み出しているメンバーが共通して使っている5つの質問を紹介します。この順番で聞くだけで、面談の質は変わります。
質問1:「理想のお客様を、一人だけ具体的に教えてください」
「中小企業の社長さんなら誰でも」という答えでは、誰も紹介できません。業種・規模・地域・抱えている悩みまで、一人の顔が浮かぶレベルまで絞ってもらうのがコツです。「小倉北区で社員10名規模の建設会社を経営していて、社会保険の手続きに手が回っていない社長」——ここまで具体的なら、思い出せます。
質問2:「その方は、どんな場面で困っているときにあなたを必要としますか」
紹介は、相手が困った瞬間に生まれます。だからこそ「どんなきっかけ・タイミングで自社のサービスが必要になるか」を言語化してもらうことが重要です。「決算の3ヶ月前」「社会保険の調査が入ったとき」など、引き金となる場面を共有しておけば、日常の雑談の中で気づけるようになります。
質問3:「これまでで一番良かった紹介は、どんな形でしたか」
過去にうまくいった紹介の実例を聞くと、その人にとって「良い紹介」の基準がわかります。名前と連絡先だけ渡す形がいいのか、3人で会う場を設けてほしいのか。求める形は人によって違います。ここを外すと、せっかく出した紹介が成果につながりません。
質問4:「私が誰に会えば、あなたの役に立てますか」
これが最も大事な質問です。「私に何ができますか」ではなく「誰に会えば役に立てますか」と聞く。前者は漠然としていて答えにくいのですが、後者なら「税理士さんとつながりたい」「福岡市内の飲食店オーナーを探している」と具体的な答えが返ってきます。
質問5:「今いちばん時間を使っている課題は何ですか」
最後に、事業ではなく経営者本人の課題を聞きます。採用、資金繰り、幹部育成——ここで出てくる悩みは、紹介だけでなく、情報提供や人の紹介など「別の形の貢献」につながります。信頼はこうした小さな貢献の積み重ねから育ちます。
60分ワンツーワンの進め方4ステップ
質問がわかったら、次は面談全体の組み立てです。おすすめは60分を4つに区切る方法です。小倉や福岡市内のカフェで、朝の1時間を使うメンバーが多くいます。
ステップ1:アイスブレイク(5分)。近況を軽く共有します。ただし、ここで盛り上がりすぎないこと。時間配分を最初に「前半はあなたの話、後半は私の話でいきましょう」と口に出して合意しておくと、脱線を防げます。
ステップ2:相手の話を聞く(25分)。先ほどの5つの質問を順に投げかけ、メモを取りながら深掘りします。ここで自分の話を挟まないのが鉄則です。相手が話し終わったら「つまり、〇〇な方を紹介すればいいということですね」と要約して確認します。
ステップ3:自分の話をする(25分)。今度は立場を入れ替えて、同じ5つの質問に答えます。事前に「理想のお客様」を1枚の紙にまとめておくと、伝わり方が格段に良くなります。この整理はBNIの60秒プレゼンで紹介を増やす5つのコツとそのまま連動します。
ステップ4:宿題を決める(5分)。最後にお互いが「次の1週間でやること」を1つずつ声に出して決めます。「〇〇さんを紹介できないか考えてみます」「参考になる資料を送ります」——小さくて構いません。ここまでやって、ワンツーワンは完了です。
入会直後の方は、まずこの型で月4回を目標にしてみてください。最初の3ヶ月の動き方はBNIに入会したら最初の90日でやるべき5つのことにまとめています。
まとめ:紹介は『回数』ではなく『深さ』から生まれる
ワンツーワンで紹介を生む5つの質問は、①理想のお客様を一人具体的に、②必要とされる場面、③過去に良かった紹介の形、④誰に会えば役に立てるか、⑤いま抱えている課題。この5つを、60分を4ステップに区切って聞くだけです。
約2,000人の起業家を見てきて確信しているのは、紹介の数は面談の回数ではなく、一回一回の深さで決まるということです。浅い面談を10回やるより、相手の事業を本気で理解する面談を3回やったほうが、結果的に紹介は増えます。
そしてこれは、BNIメンバーに限った話ではありません。異業種交流会や経営者交流会で名刺交換をした相手とも、同じ質問で1対1の時間を持てば、関係は確実に深まります。北九州・福岡でこれから人脈を仕事につなげたい方にこそ、試していただきたい方法です。
BNI北九州東リージョンでは、こうしたワンツーワンの型を含めた紹介の仕組みを、朝の経営者交流会で毎週実践しています。「紹介で売上をつくる仕組みを見てみたい」という方は、まず一度ご見学ください。ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。