「顧問先を増やしたいが、広告を出しても問い合わせが来ない」——北九州・小倉の税理士、社会保険労務士、行政書士の先生方から、ここ数年で最も多く聞くようになった悩みです。結論から言えば、士業の新規開拓は広告ではなく「紹介の設計」で決まります。
この記事では、2015年からBNI北九州東リージョンのフランチャイズを運営し、約10年で延べ2,000人以上の起業家・経営者と接してきた経験をもとに、士業が紹介で顧問先を増やすための5つのステップと、避けるべき3つの失敗を解説します。読み終える頃には、来週から誰に会えばよいかが具体的にわかるはずです。
北九州の士業が「広告では増えない」構造的な理由
まず前提を整理します。北九州市の企業数は約2万7,000社、そのうち99%以上が中小企業です。一方で、九州北部エリアには税理士・社労士・行政書士が数多く登録しており、資格を持っているだけでは差がつかない市場になっています。
さらに士業には、他業種にはない事情が3つあります。1つ目は商品が目に見えないこと。2つ目は価格差が理由になりにくいこと。3つ目は一度決めたら数年変えないことです。顧問契約は「安いから乗り換える」商品ではなく、「信頼できる人が紹介してくれたから決める」商品なのです。
実際、私が北九州・福岡の経営者に「今の税理士をどう選んだか」を尋ねると、おおむね7割前後が「知人・取引先の紹介」と答えます。検索やチラシで出会ったという回答は、体感では1割にも届きません。この構造を踏まえずに広告費を投じても、費用対効果が合わないのは当然です。紹介という手法そのものの考え方はリファーラルマーケティングとは?で基本から整理しています。
紹介が入る士業と入らない士業を分ける決定的な差
10年間、数多くの先生方を見てきて言えるのは、差は実力ではなく「思い出されやすさ」にあるということです。
経営者は日常的に税務や労務の話をしているわけではありません。紹介が発生するのは、知人の社長が「人を雇いたい」「補助金を取りたい」「決算が不安だ」と口にした、その数秒間だけです。その瞬間にあなたの顔が浮かぶかどうかが、すべてを決めます。
ところが多くの士業の先生は、自己紹介で「税務顧問と記帳代行をやっています」と説明します。これでは、聞いた相手の頭の中に引き出しができません。紹介される士業は言い方が違います。「小倉北区で、社員10〜30人の建設業に特化して、社会保険の加入指導が入ったときの立て直しをしています」——この具体性があると、相手は該当する社長の顔を思い出せます。
ここは異業種交流会でも同じです。名刺交換の数を競うより、1人の相手に「どんなときに自分を思い出してほしいか」を1つだけ渡すほうが、はるかに紹介につながります。交流会での伝え方は異業種交流会の自己紹介の記事も参考にしてください。
士業が紹介ネットワークをつくる5つのステップ
ステップ1:顧問先が「動く瞬間」を5つ書き出す
会社設立、初めての社員採用、事業承継、金融機関からの融資、補助金申請。あなたのサービスが必要になる瞬間を具体的に挙げます。これが紹介ネットワークの設計図になります。
ステップ2:その瞬間に「自分より先に会う業種」を特定する
たとえば初めての採用なら、社労士より先に求人媒体の営業や研修会社が動いています。事業承継なら、税理士より先に保険代理店や金融機関が接触しています。この「一歩手前の業種」が最重要のパートナーです。業種の組み合わせ方はBNIのパワーチーム(コンタクトスフィア)の作り方で詳しく解説しています。
ステップ3:実名で4〜6人のパートナーを決める
業種名だけでは紹介は動きません。北九州・小倉で実際に会える経営者を、実名で4〜6人選びます。多く抱えるより、まず4人と深く付き合うほうが成果が早いのが実感です。
ステップ4:相手の「理想の顧客」を暗記するまで聞く
1対1の面談で、相手が誰を紹介してほしいのかを、自分の言葉で説明できるレベルまで聞き取ります。士業の先生は「聞く」プロですから、このステップは本来いちばん得意なはずです。
ステップ5:自分から先に紹介を3件出す
BNIの基本理念であるGivers Gain(与える者は与えられる)のとおり、順番はギブが先です。私の経験では、3件紹介を出した相手からは、半年以内にほぼ確実に紹介が返ってきます。1件では記憶に残らず、3件で関係が変わります。
士業がやりがちな3つの失敗
失敗1:同業の集まりにばかり出てしまう
支部の研修会や同業の勉強会は学びになりますが、そこにいるのは全員あなたの競合です。顧問先を増やしたいなら、顧客が重なり競合しない業種の場に出る必要があります。学びの場と営業の場は分けて考えましょう。
失敗2:専門性を「難しく」説明してしまう
紹介者は素人です。専門用語で説明されると、怖くて人に紹介できません。紹介者が10秒で他人に説明できる言葉になっているかを基準にしてください。「相続に強い」ではなく「親が亡くなって、実家をどうするか困っている人の相談窓口」と言い換えるだけで、紹介の発生率は変わります。
失敗3:紹介をもらった後の対応が遅い
せっかくの紹介も、連絡が3日後では紹介者の信用を削ります。紹介を受けたら24時間以内に連絡し、結果は必ず紹介者に報告する。この2つを守るだけで、次の紹介が来る確率が大きく変わります。紹介後の動き方は紹介された見込み客の成約率を上げる5つのステップで整理しています。
まとめ:小倉・福岡で「思い出される士業」になる
北九州・福岡の士業市場は、資格の希少性ではなく関係性の設計で差がつく段階に入っています。広告に月5万円を投じるより、顧客が重なる4人の経営者と毎月1時間ずつ会うほうが、顧問先の増え方は確実に速いというのが、10年間見てきた結論です。
今日できることは1つ。紙を1枚出して、「自分の顧問先候補が、自分に相談する前に必ず会っている業種」を3つ書き出してください。その3業種の経営者と、今月中に1時間ずつ会う。それだけで、秋以降の紹介の入り方が変わります。地元で選ばれる会社の条件は北九州で『地元に選ばれる会社』になる5つの条件もあわせてご覧ください。
「自分の事務所に合う紹介パートナーの業種を知りたい」「北九州・小倉で紹介が実際に回っている場を見てみたい」という士業の先生は、ぜひ一度お問い合わせください。BNI北九州東リージョンの各チャプターでは、朝会のビジター見学を歓迎しています。経営者同士がどんな言葉で紹介を出し合っているのかを、1時間で実際にご覧いただけます。