「毎週きちんと朝会に出ているのに、紹介がなかなか増えない」——BNIのメンバーから、いちばん多く受ける相談です。結論から言うと、その差を生んでいるのは人脈の「数」ではなく、業種の「組み合わせ」です。紹介が安定して入ってくる経営者は、例外なくパワーチーム(コンタクトスフィア)を持っています。
この記事では、2015年からBNI北九州東リージョンのフランチャイズを運営し、約10年で延べ2,000人以上の起業家と接してきた経験をもとに、パワーチームの考え方と、自分のパワーチームをゼロからつくる5つのステップを解説します。BNIメンバーはもちろん、異業種交流会や経営者交流会で成果を出したい北九州・福岡の経営者にも、そのまま応用できる内容です。
パワーチーム(コンタクトスフィア)とは何か
パワーチームとは、「顧客が同じで、商品が競合しない業種のグループ」のことです。リファーラルマーケティングの世界ではコンタクトスフィア(Contact Sphere=接点の輪)とも呼ばれ、BNIの創設者イヴァン・マイズナー博士が提唱した、紹介が自然に循環する業種の組み合わせを指します。
いちばんわかりやすいのが、住宅まわりの組み合わせです。不動産会社/住宅ローンを扱う金融関係/司法書士/リフォーム会社/保険代理店/引越業者。この6業種は、「家を買う人」という同じ顧客を、それぞれ違うタイミングで担当します。誰かが1人のお客様をつかむと、残りの5人にも仕事が発生する可能性があるわけです。
もう一つの典型が、会社設立まわりです。税理士/社会保険労務士/行政書士/ホームページ制作/印刷会社/損害保険。起業する人は、この6つを短期間にほぼ全部必要とします。だからこの6業種が同じテーブルにいると、1件の起業相談が最大6件の仕事に枝分かれします。
ここで大事なのは、「競合しない」ことと「顧客が重なる」ことの両方が同時に成立していなければ、パワーチームにはならないという点です。税理士と税理士は顧客が重なりますが競合します。税理士とラーメン店は競合しませんが、顧客の重なりが弱い。この2つの条件を満たす相手を探すのが出発点です。紹介の基本的な仕組みについてはリファーラルマーケティングとは?もあわせてご覧ください。
なぜパワーチームがあると紹介数が倍になるのか
理由は単純で、紹介を出す側の「気づく確率」が跳ね上がるからです。
たとえば私が保険代理店の社長だとします。私の知り合い100人全員に「保険の相談があったら教えてください」とお願いしても、相手は普段の会話の中で保険の話題が出た瞬間しか思い出せません。年に数回あるかどうかです。
ところが、不動産会社の社長がパワーチームにいると話が変わります。その社長は毎日「家を買う人」と会っているからです。家を買う人はほぼ全員、火災保険が必要になります。つまり相手の仕事の流れの中に、私への紹介ポイントが自動的に組み込まれる。これがパワーチームの威力です。
実際、BNI北九州東リージョンのチャプターを見ていても、紹介数の上位に入るメンバーは、チャプター内に3〜5業種の強いパワーチームを持っているという共通点があります。逆に「1年やったけど紹介が少ない」という方の多くは、メンバー全員と均等に薄く付き合っていて、深い組み合わせが1つもありません。
ここは投資対効果の話でもあります。40人のチャプターで全員と同じ深さの関係をつくろうとすると、時間が足りません。まず4〜6人に集中して、その人たちの商売を「自分の商売と同じくらい」理解する。そのほうが、結果的に紹介の総数は増えます。紹介を出す側の技術は紹介がうまく出せない経営者へで詳しく解説しています。
自分のパワーチームをつくる5つのステップ
ステップ1:自分の「顧客が動く瞬間」を書き出す
お客様があなたの商品を必要とするのは、人生や事業のどんなタイミングかを5つ書き出します。結婚、出産、住宅購入、開業、事業承継、設備更新、人の採用、相続——この「きっかけ」が、パワーチーム探しの地図になります。
ステップ2:その瞬間に「自分より先に会っている業種」を特定する
あなたのお客様は、あなたに相談する前に必ず誰かに会っています。相続なら、税理士より先に葬儀社や銀行が接触している。採用なら、社労士より先に求人媒体や研修会社が動いている。この「一歩手前にいる業種」こそ、最優先で組むべき相手です。
ステップ3:候補業種のうち、実在する経営者を4〜6人リストにする
業種名だけでは紹介は生まれません。チャプターのメンバーリスト、異業種交流会で出会った名刺、既存の取引先の中から、実名で4〜6人を選びます。多すぎると回らないので、最初は4人で十分です。
ステップ4:一人ずつ1対1で会い、相手の「紹介してほしい人」を暗記する
ここが最大の山場です。BNIのワンツーワン(1on1)を使って、相手の理想の顧客像を、自分が説明できるレベルまで具体的に聞き取ります。「経営者」ではなく「小倉北区にある従業員10〜30名の建設会社で、社長が60代の会社」というレベルまで落とすこと。面談の進め方はBNIのワンツーワン(1on1)で紹介が生まれる5つの質問を参考にしてください。
ステップ5:先に自分から紹介を3件出す
パワーチームは、こちらが与えることでしか起動しません。BNIの基本理念であるGivers Gain(与える者は与えられる)のとおり、まず自分が3件出す。私の経験では、3件出した相手からは、半年以内にほぼ確実に紹介が返ってきます。1件では相手の記憶に残らず、3件で「この人には返さなければ」という関係に変わります。
パワーチームづくりでやりがちな3つの失敗
失敗1:仲の良い人でチームを組んでしまう
いちばん多い失敗です。話が合う、年齢が近い、飲みに行きやすい——それは大切な要素ですが、顧客が重ならなければ紹介は生まれません。パワーチームは「好き嫌い」ではなく「顧客の重なり」で選ぶ。仲良くなるのは、組んだ後で構いません。
失敗2:業種は合っているのに、相手の商品を知らない
不動産会社と組んだのに、その会社が売買中心なのか賃貸中心なのか、法人向けか個人向けかを知らない。これでは紹介の精度が落ち、結果的に成約につながらない紹介ばかりが行き交います。紹介後の対応の質については紹介された見込み客の成約率を上げる5つのステップで整理しています。
失敗3:もらうことばかり考えて、順番を間違える
「紹介が欲しい」と言い続ける人のところに、紹介は集まりません。パワーチームはギブが先、リターンは後という順番でしか動かない仕組みです。半年から1年かけて信頼残高を積む前提で取り組んでください。3ヶ月で成果が出ないと諦める方が多いのですが、そこで止めると投じた時間がすべて無駄になります。
まとめ:紹介は「人数」ではなく「組み合わせ」で増える
10年間、北九州・福岡で経営者のネットワークづくりを見てきて確信しているのは、紹介の量を決めるのは名刺の枚数ではなく、業種の組み合わせの設計であるということです。100人と浅く付き合う経営者より、正しい4人と深く組んだ経営者のほうが、紹介数でも成約額でも上回ります。
今日できることは1つです。紙を1枚出して、「自分のお客様が、自分に会う前に必ず会っている業種」を3つ書き出してみてください。その3業種の経営者と、今月中にそれぞれ1時間ずつ会う。それだけで、秋以降の紹介の入り方は確実に変わります。
「自分の業種のパワーチームは何になるのか知りたい」「北九州・小倉で実際に紹介が回っている場を見てみたい」という経営者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。BNI北九州東リージョンの各チャプターでは、朝会のビジター見学を歓迎しています。どの業種とどの業種の間で紹介が飛び交っているのかを、1時間で実際に見ていただけます。