「グルメサイトの掲載プランを上げたのに、予約は去年と変わらない」——北九州・小倉や黒崎で飲食店を経営される方から、10月に入るとよく聞く言葉です。忘年会シーズンの予約が動き始めるこの時期、結論から言うと、宴会・会食の予約ほど「紹介」で決まるものはありません。広告に頼らず、毎年12月が紹介だけで埋まるお店は北九州にも実際にあります。
この記事では、2015年からBNI北九州東リージョンのフランチャイズを運営し、約10年で延べ2,000人を超える経営者の方と関わってきた経験をもとに、飲食店が紹介で常連客と宴会予約を増やす5つの方法を解説します。読み終えたときには、来週誰に声をかければいいかが具体的に見えているはずです。
北九州の飲食店がグルメサイト頼みで苦しくなる3つの理由
まず、なぜ従来の集客が苦しくなっているのかを整理します。北九州・福岡の飲食店オーナーの方と話す中で、原因はおおむね次の3つに集約されました。
- 理由1:掲載費が固定費として重くなっている。グルメサイトの有料プランは月数万円〜十数万円が一般的です。客単価3,000〜4,000円の居酒屋なら、掲載費だけで毎月数十組分の粗利が消えていきます。
- 理由2:サイト経由のお客様は「次」がない。クーポンと点数で比較して来店したお客様は、次回も別のお店をクーポンで選びます。リピート率が上がらず、毎月ゼロから集客し直す状態になります。
- 理由3:人手不足で「接客で覚えてもらう」余裕がない。少人数で回している店ほど、目の前の注文をさばくだけで手一杯になり、常連客との関係づくりが後回しになります。
一方で、北九州市には中小企業が集まる小倉・黒崎・戸畑の商業エリアがあり、経営者や管理職の会食、取引先の接待、社内の歓送迎会や忘年会といった「法人の飲食需要」が年間を通じて動いています。需要はあるのに、それが自分の店に向かう導線を持っていない——これが多くのお店の実情です。
飲食店と紹介の相性がいい理由——「誰と行くか」で店が選ばれる
飲食店と紹介の相性を考えるとき、ポイントは「失敗できない場面ほど、人は人に聞く」ということです。
一人で食べるランチなら、サイトの点数で選んでも困りません。しかし、大事な取引先との会食や、社長として幹事を任された忘年会は違います。「料理が出てくるのが遅い」「個室の声が筒抜け」「会計で揉めた」——その失敗は、店ではなく幹事の評価になります。だから幹事は、実際にその店を使った知人の「あそこなら間違いないよ」という一言を頼りにするのです。
これがリファーラルマーケティングの本質で、紹介者の信頼を借りて、初めてのお客様の不安を取り除く仕組みです。しかも法人の宴会は単価が大きく、20名×5,000円なら1件で10万円の売上になります。年に3回使ってくれる会社が10社あれば、それだけで年間300万円。これを広告で取ろうとすると、相当な掲載費がかかります。紹介経由の商談が成約しやすい理由は紹介営業の成約率が高い理由でも詳しく解説しています。
飲食店の紹介が生まれる「パワーチーム」の組み方
では、誰から紹介をもらうのか。BNIにはパワーチーム(コンタクトスフィア)という考え方があります。同じお客様を、競合せずに、違う場面で担当する業種のグループのことです。飲食店のパワーチームは、次のように組み立てます。
- 社労士・税理士——顧問先の社長から「社員の慰労会をどこでやろうか」と相談される立場です。福利厚生や交際費の話の流れで、お店の名前が自然に出ます。
- ホテル・ブライダル・イベント会社——披露宴や式典の二次会、少人数の顔合わせ会など、自社で受けきれない会場の相談を持っています。
- 生命保険・損害保険の営業——日常的に経営者と会食をする業種です。「接待で使える店」を常に探しています。
- 人材派遣・求人広告——企業の新入社員歓迎会や内定者懇親会の時期を、誰よりも早く知っています。
- 酒販店・食材卸・花屋——同じ飲食業界の中で、取引先のお店や宴会情報に詳しい業種です。
この5業種と月1回でも継続的に会う関係をつくれば、紹介の入口が5本立ちます。組み方の手順はBNIのパワーチーム(コンタクトスフィア)の作り方5ステップにまとめました。
そして大事なのは順番です。先に紹介を「もらう」のではなく、先に「使う」「出す」。BNIの基本理念Givers Gain(与える者は与えられる)は、飲食店では特に分かりやすく働きます。自分の店に来たお客様に「保険の見直しならこの方が丁寧ですよ」とつなげば、その保険営業の方は次の接待で必ずあなたの店を使います。
常連客を「紹介者」に変える3つの仕組み
もう1つ、多くのお店が取りこぼしている資産があります。すでに満足して通ってくれている常連客です。常連客は店を気に入っていますが、放っておくと紹介はしてくれません。紹介したくないのではなく、「紹介していい」と思っていないか、紹介するきっかけがないだけです。効果が出やすい仕組みは次の3つです。
仕組み1:幹事さんを覚えて、幹事さんに特典を返す。宴会の予約者は、会社の中で「次も店選びを任される人」です。2回目の利用で幹事さん個人に一品サービスする、名前を覚えて迎える——それだけで、その会社の宴会は毎年あなたの店に向かいます。
仕組み2:「どんな会に使ってほしいか」を言葉にして伝える。「またお友達と来てください」では誰も動きません。「10〜20名の会社の歓送迎会で、個室と飲み放題が必要な方」——ここまで具体的にすると、常連客の頭の中に特定の顔が浮かびます。この具体化のコツは紹介の頼み方で詳しく解説しています。
仕組み3:紹介してくれた人に必ずお礼を伝える。「〇〇さんのご紹介で、昨日20名様でご利用いただきました」と一言連絡する。紹介者は自分の顔を立ててもらえたと感じ、次の紹介を出しやすくなります。
紹介が増えない飲食店の失敗パターンと、今週からの一歩
最後に、北九州・福岡でよく見かける失敗パターンを3つ挙げます。
失敗1:異業種交流会でショップカードを配るだけ。「居酒屋やってます、来てください」では、相手は客として1回来るだけです。「どんな会社の、どんな場面で使ってほしい店か」を10秒で言えるかが分かれ目です。
失敗2:紹介客を「普通のお客様」と同じに扱う。紹介で来たお客様の体験は、そのまま紹介者の評判になります。紹介の予約にはメモを残し、紹介者の名前を出して迎える——この一手間が次の紹介を生みます。
失敗3:割引で釣ろうとする。「紹介で10%オフ」のような値引きは、紹介者にとってむしろ勧めにくくなることがあります。人が紹介したくなるのは安い店ではなく、「紹介した自分が感謝される店」です。
今週からできることを1つだけ挙げます。過去1年の宴会予約の台帳を開いて、幹事さんの名前と会社名を書き出してください。そのうち2回以上使ってくれた5社の幹事さんに、忘年会の早期案内を手書きの一筆を添えて送る。これだけで、広告費0円で12月の予約が動き始めます。
「グルメサイトに頼る集客から抜け出したい」という北九州・小倉・黒崎・福岡の飲食店経営者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。BNI北九州東リージョンの各チャプターでは、朝会の見学を無料で受け付けています。士業・保険・人材といった業種の経営者が、実際にどう紹介を出し合っているかをその場でご覧いただけます。