「何度も説明したのに、社員が思ったとおりに動かない」——北九州・小倉の中小企業の経営者の方から、毎月のように聞く相談です。結論から言うと、その原因の多くは社員のやる気や能力ではなく、社長と社員の「行動スタイル」の違いにあります。スタイルが違えば、同じ言葉でも受け取り方が変わるのです。
この記事では、行動スタイルを4つに分けて理解するDiSC理論を使い、中小企業のチームビルディングを進める4つのステップを解説します。2015年からBNI北九州東リージョンを運営し、延べ2,000人を超える経営者の方と関わる中で、最も効果を実感してきた考え方の1つです。読み終えたときには、明日の朝礼で誰にどう話せばいいかが見えているはずです。
社内の「伝わらない」は性格ではなく行動スタイルの違い
社員とのすれ違いが起きたとき、多くの経営者は「あいつは分かっていない」「やる気がない」と相手の問題として捉えます。しかし実際には、話し手と聞き手で「大事にしているポイント」がずれているだけというケースがほとんどです。
たとえば、結論だけ短く伝えたい社長と、理由や手順を丁寧に知ってから動きたい社員。社長は「簡潔に指示した」と思い、社員は「説明が足りない」と感じます。どちらも間違ってはいないのです。
DiSC理論は、心理学者ウィリアム・M・マーストンが1928年の著書で示した理論をもとに発展した考え方で、人の行動傾向を4つのタイプで整理します。人を良い・悪いで分けるのではなく、「どう伝えれば届くか」を考えるための共通言語だという点が、チームビルディングに向いている理由です。
DiSC理論の4タイプ——D・i・S・Cの特徴と伝え方
4つのタイプは、「ペースが速いか・慎重か」「人に向いているか・課題に向いているか」の2つの軸で分かれます。まずは全体像をつかんでください。
- D(主導)タイプ:結果とスピードを重視。決断が速い。
→ 伝え方:結論を最初に、選択肢は2つまで。前置きは短く。 - i(感化)タイプ:人とのつながりや楽しさを重視。周りを巻き込むのが得意。
→ 伝え方:ビジョンや「誰が喜ぶか」を語る。細かい手順は後から文書で渡す。 - S(安定)タイプ:安心感とチームの調和を重視。着実にやり切る。
→ 伝え方:変更は早めに、理由と段取りをセットで。急な方針転換は負担になりやすい。 - C(慎重)タイプ:正確さと品質を重視。根拠を大切にする。
→ 伝え方:データや根拠を示し、考える時間を渡す。その場で即答を求めない。
私がこれまで研修やコンサルティングで見てきた範囲では、創業社長はDやiの傾向が強く、社員にはSやCの傾向の人が多いという組み合わせが目立ちます。社長が「自分と同じ伝え方」を続けると、社員の半分以上に届いていない——ということが普通に起こるのです。
チームビルディングに活かす4つのステップ
DiSCは知識として知るだけでは効果がありません。次の4ステップで、組織の習慣に落とし込みます。
ステップ1:社長が自分のタイプを知る。最初に診断を受けるべきは社員ではなく社長です。自分の伝え方の癖を知らないまま社員を分析しても、「部下を分類する道具」になってしまいます。
ステップ2:チーム全員でタイプを共有する。全員が自分のタイプを知り、お互いに公開します。「私はCなので、急ぎの判断は苦手です。前日に資料をもらえると助かります」と言える状態が理想です。この自己開示が、心理的安全性のあるチームの土台になります。
ステップ3:伝え方のルールを1つ決める。たとえば「重要な変更は3日前までに共有する」「会議の議題は前日に配る」など、どのタイプにも届くルールを1つだけ決めます。北九州市内のある建設会社では、このルールを入れてから「言った・言わない」のトラブルが半年でほぼゼロになったと聞いています。
ステップ4:1on1でタイプ別に関わる。月1回・30分の個別面談で、相手のタイプに合わせた話し方を練習します。BNIではメンバー同士がワンツーワン(1on1)で相手の仕事を深く理解しますが、社内でも同じです。相手を知る時間を定期的に取ることが、最も確実なチームビルディングになります。
DiSCを使うときにやってはいけない3つの失敗
現場でよく見る失敗は次の3つです。
- 失敗1:タイプでレッテルを貼る。「あの人はCだから営業は無理」など、可能性を決めつける使い方は禁止です。タイプは能力ではなく、あくまで傾向です。
- 失敗2:言い訳に使う。「私はDだから言い方がきついのは仕方ない」は本末転倒です。DiSCは相手に合わせるための道具です。
- 失敗3:一度きりの研修で終わる。受講直後は盛り上がっても、3か月後には忘れられます。ステップ3・4のように、日々の会議や面談に組み込むことが大切です。
まとめ:伝え方が揃う組織は、紹介も生まれる
ここまでの内容を整理します。①社内のすれ違いは行動スタイルの違い。②DiSCの4タイプごとに伝え方を変える。③社長から診断し、全員で共有し、ルールと1on1で習慣にする。④レッテル貼りと一度きりの研修は避ける。
実はこの考え方は、社外にもそのまま使えます。BNIの基本理念Givers Gain(与える者は与えられる)は、相手の立場に立って価値を渡すことから始まります。相手のタイプに合わせて話せる経営者は、商談でも紹介の場でも信頼されやすく、リファーラルマーケティング——紹介で顧客が増える仕組み——が自然に回り始めます。社内で伝え方が揃った会社は、社員一人ひとりが紹介の入口になるのです。
今日からできることを1つだけ挙げます。社員を1人思い浮かべ、その人がD・i・S・Cのどれに近いかを考えて、明日の声かけを1つだけ変えてみてください。反応の違いに驚くはずです。
リファーラルマーケットグループでは、北九州・小倉を拠点にDiSC理論研修をはじめとした企業研修を行っています。「社員との伝わらないを解消したい」「チームビルディングを本格的に進めたい」という北九州・福岡の経営者の方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。