「ビジターを呼んでください、と言われるのが一番つらい」——BNIのメンバーから、ワンツーワンの場でよく打ち明けられる本音です。結論から言うと、断られる人と快諾される人の差は、性格でも人脈の広さでもありません。誘う「相手の選び方」と「言葉の順番」が違うだけです。
この記事では、2015年からBNI北九州東リージョンのフランチャイズを運営し、約10年で延べ2,000人以上の起業家と接してきた経験をもとに、ビジター招待で断られなくなる5つのコツを、そのまま使える声かけの文例つきで解説します。BNIメンバーの方はもちろん、異業種交流会や経営者交流会に人を誘う立場の方にもそのまま応用できる内容です。
ビジター招待が苦手な人は、なぜ断られるのか
まず前提を整理します。BNIにおけるビジターとは、チャプター(支部)の朝会をお試しで見学する来訪者のことです。会員制の組織なので、新しいメンバーは既存メンバーの招待からしか生まれません。だからこそビジター招待は、チャプターの生命線になっています。
その上で、断られる声かけには共通のパターンがあります。私が10年間見てきた中で、うまくいかない誘い方の9割はこの3つのどれかです。
- 入会を前提に話してしまう:「いい会があるので入りませんか」と最初に言う。相手は見ていないものに判断を迫られるので、反射的に断ります。
- 自分の都合を主語にする:「今月ビジターを呼ばないといけなくて」。正直ではありますが、相手にとってのメリットがゼロです。
- 誰でもいいから誘っている:業種も課題も考えずに声をかけるので、話が具体化しません。
逆に言えば、「入会の話をしない」「相手を主語にする」「相手を選ぶ」——この3点を変えるだけで、承諾率は大きく変わります。実際、北九州・小倉のチャプターで招待の型を変えたメンバーが、3ヶ月で承諾率を2割台から6割前後まで引き上げた例もあります。以下、具体的な手順に落としていきます。紹介という仕組みそのものの考え方はリファーラルマーケティングとは?で解説しています。
コツ1・2:誘う相手を「3つの層」から選ぶ/誘う理由を相手基準にする
コツ1:誘う相手を、次の3つの層から探す
思いつきで名刺をめくるのではなく、優先順位をつけて探します。私が推奨しているのは以下の3層です。
- 第1層:自分のパワーチーム候補(顧客が重なり、競合しない業種)。入会すれば自分の紹介も増えるので、招待の熱量が自然に上がります。
- 第2層:チャプターに空いているカテゴリーの経営者。BNIは1チャプター1業種が原則なので、空席業種の人は歓迎されやすく、本人にとっても独占的な立場が手に入ります。
- 第3層:「新規開拓の方法を探している」と口にしたことがある人。課題が顕在化している人は、見学の価値をすぐ理解します。
この3層に当てはまる人を、まず10名リストアップしてください。10名書き出せば、そのうち3〜4名は今月中に声をかけられる相手のはずです。業種の組み合わせの考え方はBNIのパワーチーム(コンタクトスフィア)の作り方5ステップに詳しくまとめています。
コツ2:誘う理由を、相手の課題から組み立てる
「良い会だから」は理由になりません。相手がいま困っていることと、朝会で見られるものを結びつけるのが正しい順番です。
たとえばリフォーム会社の社長が「チラシの反応が落ちた」と言っていたなら、「広告費をかけずに新規を取っている会社が集まる朝会がある」と伝える。社労士が「顧問先を増やしたい」と言っていたなら、「小倉で毎週40社の経営者が集まって、仕事の紹介を出し合っている場がある」と伝える。同じ朝会でも、相手によって説明する角度を変えるのがコツです。
コツ3:断られない声かけの型(そのまま使える3パターン)
ここが本題です。声かけには型があります。共通の構造は「相手の課題 → 場の事実 → 一緒に行きませんかという提案 → 入会の話はしないと明言」の4ステップです。文例を3パターン挙げます。
パターンA:課題を聞いている相手に
「前に新規のお客様の入り方を変えたいとおっしゃっていましたよね。実は私が毎週木曜の朝に出ている会が、小倉で40社くらいの経営者が集まって、お互いに仕事を紹介し合っている場なんです。見ているだけでも参考になると思うので、来週一緒に行きませんか。入会の勧誘は一切しないので、朝ごはんを食べに来る感覚で大丈夫です。」
パターンB:業種の空席を伝える
「うちのチャプター、実は○○(相手の業種)の枠が空いていて。BNIは1業種1社なので、入ると北九州のそのグループ内では独占になるんです。埋まる前に一度見ておくと判断しやすいと思うので、朝の1時間だけ見に来ませんか。見学は無料で、その場で決める必要もありません。」
パターンC:紹介を先に渡してから誘う
これが最も強い型です。先に相手へ仕事を1件紹介してから、その報告の場で誘う。「先日の件、うまく進みましたか。実はあのお客様、私が毎週出ている朝会のメンバーからいただいた話で……」と流れで説明すると、相手は場の価値を体感として理解します。BNIの基本理念であるGivers Gain(与える者は与えられる)は、招待の場面でもそのまま効きます。
3パターンに共通するのは、「入会の話はしない」と先に明言している点です。人が誘いを断るのは、断りにくい状況に追い込まれることを警戒するからです。逃げ道を先に用意すると、承諾のハードルは一気に下がります。紹介してもらえる頼み方5つのコツでも触れていますが、依頼は「相手が断れる形」にするほど通ります。
コツ4・5:当日の同行と、翌日のフォローで差がつく
コツ4:当日は必ず15分前に待ち合わせて、3人に引き合わせる
ここを省略するメンバーが非常に多いのですが、ビジターの満足度は「何人と話せたか」でほぼ決まります。会場に着いてから放置されたビジターは、朝会の内容がどれだけ良くても「知らない人ばかりで居心地が悪かった」という印象だけを持ち帰ります。
やることは3つです。①15分前に会場入口で待ち合わせる。②開始前に、相手のパワーチームになりそうなメンバー3人に引き合わせる。③自分の60秒プレゼンの前後で、ビジターの席の隣に座る。これだけで、再訪率は体感で倍近く変わります。BNIの60秒プレゼンで紹介を増やす5つのコツで解説した通り、ビジターがいる日は自分のプレゼンも「初めて聞く人に伝わるか」を基準に組み直すとよいでしょう。
コツ5:翌日中に、感想ではなく「次の一歩」を渡す
朝会の翌日、「昨日はありがとうございました。いかがでしたか?」だけで終わらせないこと。感想を聞くより、次の予定を1つ提示するほうが関係は前に進みます。
具体的には、「昨日話していた税理士の○○さん、あらためて一度お会いになりませんか。日程を私から聞いてみます」といった形です。入会するかどうかに関係なく、その人にとって役に立つ人間関係を1つ残す。この姿勢が結果的に入会にもつながりますし、入会しなかった場合でも紹介元として長く残ります。フォローの具体的な進め方は異業種交流会の後のフォローアップ5つの手順もあわせてご覧ください。
まとめ:ビジター招待は「勧誘」ではなく「情報提供」
10年間、北九州・福岡でチャプターの運営を見てきて確信しているのは、ビジターが集まるメンバーほど、招待を「勧誘」だと思っていないということです。彼らは、自分が価値を感じている場を、必要としていそうな人に教えているだけ。だから言葉に迷いがなく、相手も身構えません。
今日からできることは1つです。この記事で挙げた3つの層から、10名の名前を紙に書き出してください。そして、そのうち3名に、パターンA〜Cのどれかで声をかけてみる。10名のリストがある人と、その場で思いついた人に声をかける人とでは、1年後のビジター数に10倍以上の差がつきます。
「北九州・小倉で実際に紹介が飛び交っている朝会を見てみたい」「自分の業種の枠が空いているか知りたい」という経営者の方は、ぜひ一度お問い合わせください。BNI北九州東リージョンの各チャプターでは、朝会のビジター見学を無料で歓迎しています。もちろん、その場で入会をお勧めすることはありません。まずは1時間、リファーラルマーケティングが実際に動いている現場をご覧ください。