「社員には言えない。家族にも心配をかけたくない。でも、一人で決めるには重すぎる」——創業から数年経った経営者の多くが、この壁にぶつかります。結論から言うと、成長が速い経営者には、ほぼ例外なく「本音で相談できる、少し先を歩く先輩経営者=メンター」がいます

この記事では、2015年からBNI北九州東リージョンのフランチャイズを運営し、約10年で延べ2,000人以上の起業家と接してきた経験をもとに、北九州・福岡の中小企業経営者がメンターを見つけ、長く続く関係を育てる5つの方法を解説します。

経営者にメンターが必要な3つの理由

理由1:社長の判断ミスは、誰も止めてくれない。会社員時代は上司がブレーキ役でした。しかし社長になると、間違った方向に進んでも社員は指摘しにくいものです。「それ、3年前に私も失敗したよ」と言ってくれる人が1人いるだけで、数百万円単位の損失を避けられるケースを、私は何度も見てきました。

理由2:本やセミナーでは「自社への当てはめ方」がわからない。知識は本で手に入ります。けれど「年商5,000万円・社員4人の小倉の会社なら、どの順番でやるか」は本に書いていません。自己成長を事業の数字に変えるには、知識と現場をつなぐ「翻訳者」が必要です。

理由3:経営者の孤独は、判断の質を下げる。悩みを抱え込んだ社長ほど、決断が遅くなり、視野が狭くなります。この問題については中小企業経営者の孤独を解消する5つの方法で詳しく書きました。メンターは、その孤独を「相談できる関係」に変えてくれる存在です。

良いメンターの条件——コンサルタント・顧問との違い

まず整理しておきたいのが、メンターとコンサルタントの違いです。コンサルタントは「報酬をもらって課題を解決する専門家」、メンターは「経験を分かち合い、あなたの成長を見守る先輩」です。

私が見てきた中で、良いメンターには次の3つの条件がありました。

①あなたより2〜3段階先のステージにいる。年商1億円を目指すなら、年商3〜5億円の経営者が理想です。100億円企業の会長より、少し先の人のほうが具体的な助言をくれます

②成功談より失敗談を話してくれる。「自分はここでつまずいた」と話せる人ほど、相談相手として信頼できます。

③あなたに何かを売ろうとしない。相談のたびに高額な商品やセミナーを勧めてくる場合は、メンターではなく営業です。

経営者がメンターを見つける5つの方法

方法1:「メンターになってください」とは頼まない。いきなりこう言われると、相手は重く感じて断ります。まずは「1つだけ質問させてください」から始め、3回ほど相談を重ねるうちに自然とメンター関係になる——うまくいっている経営者は、ほぼこの流れです。

方法2:相談する前に、自分の課題を1行で書く。「経営について教えてください」では、相手も答えようがありません。「社員が5人を超えてから、自分が現場を離れられない。何から手放しましたか?」のように具体的に聞くと、相手は「この人なら時間を使う価値がある」と感じます

方法3:継続的に顔を合わせる経営者コミュニティに身を置く。一度きりの異業種交流会では、信頼関係が育つ前に終わってしまいます。北九州・福岡には商工会議所、青年会議所、業界団体、BNIのような毎週集まる経営者の会など、さまざまな選択肢があります。それぞれの違いは北九州の経営者が入るべき団体はどれ?5つの基準で比較にまとめました。大切なのは会の名前ではなく、同じ人と月に2回以上会えるかどうかです。

方法4:助言をもらったら、必ず「実行結果」を報告する。メンターが一番うれしいのは、お礼の品ではなく「言われた通りやったら、こうなりました」という報告です。報告をくれる相手には、人は次もアドバイスしたくなる

方法5:自分も誰かに「与える」側に回る。BNIには「Givers Gain(与える者は与えられる)」という理念があります。メンターから受け取るだけでなく、あなたが得意な分野の情報や人の紹介を、先に相手に差し出す。一方通行ではなく「お互いに役に立つ関係」になった人ほど、メンター関係は5年、10年と続きます。この「与えることが紹介を生む」仕組みは、リファーラルマーケティングとは?紹介営業の基本で解説している考え方そのものです。

メンター探しでありがちな3つの失敗

失敗①:有名人やSNSのインフルエンサーをメンターにしようとする。画面の向こうの人は、あなたの会社の事情を知りません。メンターは「あなたの名前と会社を知っている人」でなければ機能しません。まずは地元・北九州で実際に会える経営者から探しましょう。

失敗②:メンターを1人に絞りすぎる。財務、採用、営業——すべてに詳しい人はいません。私がおすすめしているのは、テーマ別に3人の相談相手を持つことです。

失敗③:答えをもらうことだけを期待する。メンターは「正解」をくれる人ではなく、あなたが自分で考えるための「問い」をくれる人です。助言を鵜呑みにせず、「自分ならどうするか」を必ず言葉にしてから相談すると、学びの深さが変わります。何に時間とお金を投資すべきかは経営者の自己投資は何から始めるべきかもご覧ください。

まとめ:メンターは「探す」より「出会える場所」に通う

整理します。経営者がメンターを見つける5つの方法は、①いきなり「メンターに」と頼まない、②課題を1行で書いてから相談する、③継続的に会える経営者コミュニティに身を置く、④助言の実行結果を報告する、⑤自分も与える側に回る——です。

10年間で2,000人以上の起業家を見てきて感じるのは、良いメンターに恵まれた経営者は「運が良かった」のではなく、「毎週、先輩経営者と顔を合わせる場所に通い続けていた」ということです。メンターは、信頼を積み重ねた結果として生まれる関係なのです。

「相談できる経営者仲間がほしい」「北九州・福岡で、本音で話せる先輩経営者に出会いたい」という方は、ぜひ一度お問い合わせください。BNI北九州東リージョンの各チャプターでは、朝会のビジター見学を歓迎しています。当社のリカレント教育・企業研修プログラムとあわせて、学び続ける経営者がどんな関係を築いているのか、実際にご覧いただけます。