「毎日忙しくて自分の時間が取れない」「人脈づくりが大事なのは分かっているが、その時間がない」——北九州・福岡の中小企業経営者と話していて、もっとも多く聞くのがこの言葉です。結論から言えば、経営者の『時間がない』の正体は、時間の量の不足ではなく、優先順位のつけ方の問題です。

本コラムでは、BNI北九州東リージョンを2015年から運営し、約10年で延べ2,000人以上の起業家を見てきた経験をもとに、経営者が『時間がない』を解決する5つの時間管理術、人脈と紹介に時間を投資すべき理由、やりがちな3つの失敗を具体的に解説します。読み終えるころには、「明日から何に時間を割けばいいか」がはっきり見えているはずです。

なぜ経営者はいつも『時間がない』のか

まず押さえたいのは、時間は誰にとっても1日24時間で平等だということです。年商5,000万円の社長も、年商5億円の社長も、持ち時間は同じ。それでも成果に差がつくのは、同じ時間を「何に使っているか」が違うだけです。

経営者の仕事は、緊急の対応に追われやすい構造を持っています。目の前のクレーム処理、見積もり、資金繰り——これらは「緊急かつ重要」なので、放っておいても手をつけます。問題は、「緊急ではないが重要」な仕事、つまり人脈づくり・紹介の種まき・自己投資が、いつまでも後回しにされることです。

ある調査では、中小企業の経営者の約7割が「重要だと分かっているのに手をつけられていない仕事がある」と回答しています。北九州のある製造業の社長も、「交流会に行きたいが忙しくて」と3年間言い続け、その間に紹介経由の新規顧客はゼロのままでした。忙しさを理由に将来への投資を止めると、いつまでも忙しいままの状態が固定されるのです。

『時間がない』を解決する5つの時間管理術

10年で数百名の経営者の時間の使い方を見てきた中で、成果を出す社長が共通して実践しているのは、次の5つの習慣でした。

術1:『緊急ではないが重要』な時間を先に予定に入れる

もっとも効くのが、人脈づくりや紹介の種まきを、最初からカレンダーに固定してしまうことです。空いた時間にやろうとすると永遠にやりません。「毎週水曜の朝は交流会」「毎月第一金曜は1対1面談」と先に枠を確保するだけで、実行率は劇的に上がります。

術2:『自分でなくてもいい仕事』を手放す

経営者の時間が足りない最大の原因は、本来任せられる仕事を自分で抱えていることです。経理入力、資料作成、日程調整——これらは仕組みや他人に渡せます。社長にしかできないのは「意思決定」と「人との関係づくり」の2つ。ここに時間を集中させる考え方は、経営者の自己投資は何から始めるべきかでも解説しています。

術3:会う相手を『目的』で選ぶ

時間がない経営者ほど、誘われるまま何にでも顔を出し、結果的に疲弊しています。「この場は何のために行くのか」を毎回はっきりさせることが大切です。人脈を広げたいのか、既存の関係を深めたいのか。目的が曖昧な集まりを1つ断るだけで、重要な相手に使える時間が生まれます。

術4:移動・スキマ時間を『種まき』に変える

北九州は車移動が多く、1日1〜2時間を運転に使う経営者も珍しくありません。この時間にお世話になった人への一本の電話、紹介先へのお礼のメッセージを入れるだけで、関係は着実に深まります。まとまった時間がなくても、種まきは細切れの時間でできます。

術5:週に一度『振り返りの30分』を持つ

成果を出す経営者は、週末に30分、今週の時間の使い方を振り返る習慣を持っています。「今週、将来のための種まきに何時間使えたか」を数える。これだけで、翌週の優先順位が自然と整います。

なぜ人脈づくりと紹介に時間を投資すべきなのか

「時間がないなら、まず目の前の仕事を優先すべきでは」と思うかもしれません。しかし、人脈づくりと紹介営業への投資こそ、経営者がもっとも高い利回りを得られる時間の使い方です。

その理由は、紹介から生まれる顧客は、広告や飛び込み営業に比べて成約率が高く、単価も高く、長く付き合ってくれるからです。信頼を土台に紹介が循環する仕組みそのものは、リファーラルマーケティングとは?で詳しく解説しています。1時間の交流会が、数ヶ月後に年商規模の案件につながることは、北九州・福岡の現場でも珍しくありません。

実際、小倉のあるサービス業の社長は、「忙しい」を理由に交流会を断り続けていましたが、週1回の朝の経営者交流会に参加すると決めてから半年で、紹介経由の新規契約が3件、うち1件は継続取引の大口顧客になりました。使った時間は週2時間ほど。これを「時間の浪費」と見るか「将来への投資」と見るかで、1年後の売上は大きく変わります。どのくらいの頻度で参加すべきかは異業種交流会は月に何回参加すべきかにまとめています。

経営者がやりがちな時間の使い方3つの失敗

時間管理がうまくいかない経営者には、北九州・福岡の現場でも共通した3つの失敗があります。

1つ目は『すべてを自分でやろうとする』こと。責任感の強い社長ほど、細かい実務まで抱え込みます。しかし社長が作業に埋もれるほど、会社の成長スピードは落ちます。任せる勇気が、社長の時間を生むのです。

2つ目は『緊急なことばかりに反応する』こと。鳴った電話、届いたメールに片っ端から対応していると、1日が「他人のペース」で終わります。1日の最初の1時間だけは、自分が決めた重要な仕事に使うと決めるだけで、主導権を取り戻せます。

3つ目は『人脈づくりを"余裕ができたら"にする』こと。余裕は待っていても永遠に来ません。忙しい今こそ、将来の顧客をつくる種まきを止めない——これが、数年後に「忙しいのに売上が伸びない」状態を避ける唯一の方法です。

まとめ:時間管理とは『優先順位の管理』である

経営者の『時間がない』は、時間を増やせば解決するものではありません。本質は、限られた24時間を、緊急なことではなく重要なことに配分できているかという優先順位の問題です。今日紹介した5つの術(重要な時間を先に入れる/任せる/目的で選ぶ/スキマを種まきに変える/週に一度振り返る)は、どれも明日から始められます。

特に、人脈づくりと紹介への時間投資は、経営者がもっとも高い利回りを得られる使い方です。目の前の忙しさに流されて種まきを止めた会社は、数年後も同じ忙しさの中にいます。逆に、忙しい中でも週に数時間を将来のために使い続けた経営者は、紹介が複利で積み上がり、やがて営業に追われない状態にたどり着きます。

「人脈づくりに時間を割く価値があるのか、まず知りたい」「北九州・福岡で成果を出している経営者がどう時間を使っているか見てみたい」という方は、BNI北九州東リージョンの朝の経営者交流会を一度体験してみてください。ご相談はお問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。